ねごと日記

ラジオときどきPodcast

よしなしごと -- 2

翌日、特に予定もなかった。暇を持て余すくらいだったら、と

教えてもらった先輩の家に向かう。

別に阿部に会いたいわけではない。そう心の中で繰り返していた。

そこには、同じバイトの仲間が集まっていると聞いた。

この前、朝までカラオケに行ったとかいうメンバーだろうか。

インターホンを押すと、すでにガヤガヤした声が、空気がはみ出てくる。

「おー!本当に来た。今あいつ風呂場。瀬奈はまだかってうるさいよ。」

先輩は喋りながらドアを開け、元々そこにいたであろう場所に戻り、

何やら騒がしいゲームをしていた。

部屋には、阿部の彼女もいた。

その横には、もう一人、女の子がいた。

先輩とゲームをしているのか、見ているだけなのか、

よくわからなかったが、高い笑い声が響いていた。

なんで私ここに呼ばれたんだよ。

まだほとんど話したことがない二人に、ぎこちなく会釈をする。

そう思ったのも束の間、風呂場から声が聞こえた。

「せなー、来たのー?遅いって、早くきてー!」

このあたりでまた思った。なんなんだよ。

彼女はここにいるのに、私を呼びつけて、

髪染めるから来てってどういうことだよ。

申し訳ないけど市販の髪染めなんて触ったこともないから、

何すればいいかもわからないよ。

それでも、来てしまったからには求められる役割を果たすべきなのか。

こういうところが真面目なのか、厄介なのか。

瀬奈は風呂場に近付き、ドア越しに聞いた。

「な、なに、来たけど、私わかんないよ、帰っていい?」

「遅いからさ、もう染めちゃっててさ、見てよその箱!

 俺、金髪にするんだぜ!」

「・・・え?金髪じゃバイトできないじゃん、辞めるの?」

「いや、大丈夫っしょ!」

「金髪にしたことあるの?」

「いや、ないよ!でもさ、なんかおもしれーじゃん。

 瀬奈も気に入ってくれると思って!」

確かに、手元のパッケージには金色の髪をした男性がニヤリと笑っていた。

私の人生に突然現れた、このよくわからない生き物とどう接したらいいのか、

ますますわからなくなっていた。